骨太の方針2020
人間ドックの結果が怖いものの、アラポテトの誘惑に負けてしまっている今日この頃です。
さて、今回は少し前に政府が発表した「骨太の方針2020」に関して、歯科の部分のお話をさせて頂きたいと思います。
方針の枠組みの一つである、「新たな日常に向けた社会保障の構築」の中で、「細菌性やウィルス性の疾患の予防という観点も含め、口腔の健康と全身の健康の関連性をさらに検証し、エビデンスの国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科検診、フレイル対策・重症化予防につながる歯科医師、歯科衛生士による歯科口腔保健の充実、歯科医療専門職間、医科歯科、介護、障害福祉関連機関との連携を推進し、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」と明記されました。
わかりにくいところだけをピックアップすると「エビデンスの国民への適切な情報提供」とは医学的な根拠に基づいた情報を提供するということです。
最近だとアルコール濃度70%以下だと効果がないといううわさが広まっているようですが、20年以上前のデータです。最新のデータだと2020年4月に北里大学の出した論文によると50%のエタノールに1分間触れるとコロナウイルスの不活性化が確認されたとの報告がありました。20年前はガラケーが白黒の時代ですよ。しっかりと知識を現代にアップデートしましょう。ちなみにこれは20年前からの常識ですが、アルコール濃度は80%を超えると殺菌力が低下します。アルコール濃度が高ければ高いほど効果が高いというのは間違いです。
このようにコロナという不安に便乗して、嘘や詐欺が横行しておりますので、エビデンスをもった情報のみ信じるようにしてください。何度も言いますが、「私の大好きな〇〇キャスターが言ってたんだけど」「友達からきいたんだけど」「40代医師が言うには」はすべて嘘ですので信じないようにしてください。不安を煽れば物がよく売れるので。
さて脱線しました、次にわかりにくい部分は「フレイル対策、重症化予防にもつながる歯科口腔保健の充実」です。フレイルとは身体の衰えを意味し、健康と機能障害の中間にあるといわれています。つまり身体機能の衰えや病気が悪化することはお口を健康にすることで予防することができるということです。
これも以前ブログで何度も言ってきましたが、マスコミの素晴らしい運動により歯科医院は世界で一番コロナにかかりやすい場所になりました。これにより、歯科医院の受診、検診を控える人が多発しました。今年の4月の歯科医師に対するアンケートで訪問診療の半数以上がキャンセルを受けたそうです。
周りに歯医者に行ってコロナになったという人いますか??
歯科医療関係者がコロナになったという報告はあります。歯科医師も人間ですので、スーパーに行くこともあればコンビニに行くこともあります。しかし2020年11月現在「歯科医院」を通じてのコロナの感染はいまだにありません。これはコロナが騒がれるずっとずっと前から、なんなら僕が歯科医師になるよりもずっと前から先人の先生方は飛沫感染対策、エアロゾルの飛散を想定した感染予防対策、スタンダートプリコーションを行っているからです。本当に頭が下がります。
感染対策はされているのが当たり前である歯科医院はなぜ世界で一番コロナにかかりやすいのでしょうか??
さてまた脱線しました。まとめます。うその情報を鵜呑みにせず、自身の判断で受診や検診を控えるのはやめましょう。そのように言っていると今回の骨太の方針2020から感じました(これは僕の感想です)。歯科の治療に不要はありません。それではまた。
歯科医師 河合鮎樹