なぜ歯の掃除をすると血が出る…

なぜ歯の掃除をすると血が出るのか?最終章

暑いのか寒いのかわからないですね。夏用の布団か冬用の布団しかないのでどちらにするのかが今一番の悩みです。

さて、長らくお話ししてきました、なぜ歯の掃除をすると血が出るのか?最終章、なぜ歯の掃除をすると血がでるのか?の確信に迫りたいと思います。今回の話も前回の続きになりますので、初めての方は前のブログからお読みになっていただけたらと思います。今回も理解を優先するため細かい部分で違うことがありますことをお許しください。

前回、歯周病は歯周病菌が原因で炎症を引き起こし、歯茎や骨を破壊してしまうとお伝えしました。そこで一つ皆さんに考えてもらいたいのですが、

菌って目に見えるものでしょうか?

バイキンマンみたいに目に見えて悪さをして、アンパンマンにアンパンチでやっつけてくれれば話は早いのですが、世の中目に見えないところで悪さは進むものですよね?(いきなりなんの話でしょう)

そうです。歯周病って目に見えないのが一番怖いところなんですね。厳密にいうと、歯周病になってしまえば、歯肉の退縮がみえるためわかるのですが、歯肉炎、つまり炎症というものは目で見て確認することができません。ですので我々歯科医師及び歯科衛生士はプローブ(先の丸い細い棒)で歯と歯茎の周りを調べて「出血」があるかどうかで炎症の有無を調べます。というかこの方法でしか炎症を調べることができません。

ですので、大変不快なことは重々承知しておりますが、歯医者に行くと歯茎をちくちくする痛い検査をさせて頂いております。この検査をすることにより、出血があれば歯周病(または予備軍の歯肉炎)なければ正常という判断をさせて頂いております。

話は変わりまして、歯医者に行ったときにこんな説明を受けたことありませんか?

歯石があるので取らせていただきます

歯石をとること、スケーリングといいますが、この時の痛みが苦手で歯医者に行きたくないという方も多いでしょう。しかし歯石「自体」には歯周病菌はいないということをご存知でしょうか?

歯石とは細菌の「死骸」と唾液の中にあるカルシウムが混ざって固まったものになり、歯石自体には細菌は存在しません。しかしバイオフィルム(細菌の膜)がその歯石の「周り」に存在するため、歯医者に行くと歯石をせっせととります。

しかし、歯石をとるだけでしか歯周病の治療はできないのでしょうか?そこで考えられたのが、EMS、エアーフローという新しい治療方法です。これは簡単に言えば、菌をとりやすくするパウダーと水混ぜたものを風(酸素)で一気に飛ばして、菌を取り除くという画期的な方法です。この治療法の一番のメリットは、風と水とパウダーだけなので、いきなりスケーリングをするときよりも歯茎を傷つけません。つまりスケーリングなどで感じる一番いやな「痛み」が少ないということです(全くないわけではありません)。これにより、バイオフィルムやプラークを取り除くことができ、炎症を納めます。さらに風を当てることにより、酸素が菌に届き、歯周病菌を不活性化させる目的もあります。もちろんそのままほっておけばまた歯石の周りにバイオフィルムができてしまうため、炎症を取り除いた後、つまり痛くなくなってからスケーリングを行うことで極力痛くないよう歯周病の治療をすることができます。

ですので、当医院では普通の歯医者さんよりも治療回数がかかります。しかし、少しでも歯医者で感じる「痛み」を極力少なくすることを目的として行っているということをご理解いただけたらと思います。また長い目で見れば、歯周病をしっかり治すことが治療回数を少なくすることにもつながります。

話を元に戻します。なぜ歯の掃除をすると血が出るのか?それは掃除をしたから血が出ているのではなく、炎症が起きているから血が出るのです。炎症がなければ出血はしません。繰り返しますが、炎症は菌によって引き起こされます。菌を取り除かない限り歯周病は絶対に治りません。これを話すと話がこんがらかるかもしれませんが、歯周病の治療はめちゃくちゃ種類がありますので、出血をさせない治療方法も存在はします。しかし、強い薬を使うものであったり、効果が不確実なものであったりするため、当医院では採用しておりません。当医院では歯周病の治療を「痛みが極力少ない」方法でかつエビデンス(科学的根拠)に基づいたものを採用させていただいております。痛い治療が嫌いな方、歯周病をしっかり治したい方、ぜひ当医院にご来院頂けたらと思います。

長らく続けさせていただきました「なぜ歯の掃除をすると血が出るのか?」ご理解いただけましたでしょうか?途中端折っている部分もあります、納得のいかない部分もあると思います。そんなときは、是非当院スタッフまでご相談ください。書ききれなかった部分までご説明させていただきたいと思います。一緒に歯周病を治しましょう。それではまた。

補足① くれぐれも他院で行われるスケーリングを否定するものではありません。スケーリングのみをすることでも歯周病は治ります。当院ではその前に炎症を納めてから痛くないようスケーリングを行っているということです。

補足② 風を使った治療になります。知覚過敏の方は行えない部分もありますのでご了承ください。

補足③ コロナ対策のため、治療の際はフェイスガードを着用させていただく場合がございます。ご了承ください。

                      歯科医師 河合鮎樹

一覧に戻る