なぜ歯の掃除をすると血が出る…

なぜ歯の掃除をすると血が出るのか?③

虫の音色がセミから鈴虫に変わり、季節の変わり目を実感しております。今年はさらに秋刀魚が高いですね(笑)庶民の魚じゃなくなっちゃったなぁ。目黒のさんまは今はどんな魚の噺になっているのでしょうか?

さて今回はなぜ歯の掃除をすると血が出るのか?第三話。歯周病菌がどのようにして歯周病を引き起こすのか?についてお話ししたいと思います。続きのお話になりますので、まだの方は是非前のブログからお読みになってください。今回も理解を優先するため、細かい部分で違うことがありますことをお許しください。

前回、菌にはいいものも悪いものもいるというお話をさせて頂きました。その中の悪い菌一つに歯周病菌という空気が嫌いな菌がいます。そして悪い奴というのはだいたいたむろします(言葉が汚い)。これをプラークといいます。そして、この菌はなんと周りに毒を持っています(詳しく話すとグラム陽性、陰性の話になり外毒素、内毒素というややこしい話になるので周りに持っていることにします)そのため、毒が細胞の膜を破って体に侵入しようとするんですね。しかし人間やられっぱなしじゃありません。体にはマクロファージという菌を食べてくれるいいやつがいるんですね(これも正確には菌を食べるのではなく菌から出るLPSを食べるのですがこれもややこしくなるので)。ですので、お口に歯周病菌がいてもマクロファージが食べてくれるので安心ですね。

で終わってくれればいいんですが、そうじゃないので困ってしまいます。このマクロファージ、菌を食べるとうんこを出します(お食事中の方ごめんなさい)この「うんこ」がコラーゲンつまり歯茎を破壊して炎症を起こしてしまうんですね。余談ですが、この段階を経ているため、歯周病の発見が遅れたともいわれています。

しかし、この炎症すぐに広がるわけではありません。これはノルウェーのウェハーグ先生が、この炎症は1~2mm以内に限局しているということを見つけました。ですので、歯周病菌をマクロファージが食べてうんこを出して、歯茎を破壊し始めても、初期の段階で対策をとることができれば、深く進むことはないということを発見したともいえます(ウェハーグ先生すごい!)

しかし、この炎症をほっておけば、歯肉が破壊され、どんどん歯肉は下がっていきます。そして炎症は骨を溶かし、歯がぐらぐらになり、抜けてしまう。これが歯周病の末路というわけです。

まとめます。悪い菌の塊、プラークをやっつけるマクロファージが菌を食べる際にでるうんこが原因で炎症は起きる。しかし、炎症は1~2mmの範囲内でしか起きない(この状態を歯肉炎といいます)しかし、ほっておけばどんどん歯茎が破壊され、骨を溶かし歯が抜けてしまう(この状態を歯周炎といいます)。ですので、菌の集団プラークを取り除くことが歯周病を治す唯一の治療方法なんですね。それでは次回最終章、ではなぜ歯の掃除をすると血が出るのか?ご期待ください。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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