なぜ歯の掃除をすると出血する…

なぜ歯の掃除をすると出血するのか?②

なぜ歯の掃除をすると出血するのか?②

先日、上記の様な素晴らしい本を患者様からいただきました。かなり興味深いお話も聞けたので、この本をしっかり読ませていただき、また近日中にこのブログでも感想を書かせていただきたいと思います。あの「鮎」がねぇ。。。

さて前回に続き、なぜ歯の掃除をすると出血するのか第二話です。まだの方は前回のブログからお読みになってください。また今回も理解を優先させていただくため、細かい部分で違うことがありますことをお許しください。

前回より、人間のだいたい80%が歯周病で、自分が歯周病でも何らおかしくないということをお伝えさせていただきました。

今回は歯周病菌についてお話しします。まずみなさん「菌」ってどんなイメージを持たれているでしょうか?まず僕が一番最初に思い浮かんだのがバイキンマンです。いつもなにか「悪い事」をして、アンパンマンに見つかり、アンパンチでやっつけられるあのバイキンマンです。なので菌に対して、ネガティブなイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか?

しかし、一方でイースト菌や納豆菌なんてものも聞いたことはありませんでしょうか?こういった菌は食生活を豊かにし、人間にいい影響を与えるものもいます。ですので知っておいていただきたいのは

菌には(人間にとって)いいものも悪いものもいる

ということです。そしてまた面白いのがいいものと悪いものが戦っているわけではなく、いいもの同士、悪いもの同士でも戦っているという点です。なぜならそれは「人間にとって」いいもの、悪いものだからです。さらにあえて(人間にとって)と入れさせていただいたもう一つの理由があります。皆さん菌っていつから存在すると思いますか?これも諸説あるので絶対ではないですが、

およそ40億年前

からいるといわれています。そう。地球の誕生とともにもう菌は存在していたんですね。ですのでおよそ一万年前に誕生した人間からしたら、めちゃくちゃ大先輩になります。脱線ついでにもう少し地球の歴史にについてお話しさせてください。皆さん酸素ってご存知ですよね?人にとっては欠かせないものになります。これっていつから地球にあるかご存知ですか?一つの証拠として、10億年前の南極の氷を調べるとそこに有機質(酸素を含んでいるもの)が存在したことから少なくとも10億年前には存在したといわれています。しかし先ほど書いたように菌は地球の誕生とともに40億年前から存在したとお話ししました。ここからは諸説あるので絶対ではありませんがお話しさせてください。おそらく地球が誕生した40億年前には酸素は存在しませんでした。しかし二酸化炭素は存在したといわれています。そこに何らかの因子(おそらく雷なんじゃないかと言われています)によって、二酸化炭素CO2がCとO2に分かれ、酸素が誕生した。そして酸素は空気よりも重いため、下にやってくる。それまでの生物は酸素なんてものはない状況で生きていたため、酸素という「猛毒」がやってきたことから、99.99%の生物(菌も含む)が死滅したといわれています。そして残った0.01%の生物は「ミトコンドリア」を搭載することで酸素から身を守りました。このミトコンドリアはいろんな働きをしますが、その一つに酸素という猛毒を代謝してエネルギーに変えるという機能を持っています。ですので、酸素がある現代、生物のほとんどにミトコンドリアが搭載されて、生きることができているんですね。ミトコンドリアすごい!

話がめちゃくちゃ脱線しましたが、ここでお伝えしたいことは菌には酸素が好きな好気性菌と、酸素が嫌いな嫌気性菌がいるよということです(話が強引)そして歯周病菌のほとんどがこの嫌気性菌だといわれています。

まとめます。菌にはいいものも悪いものもいる。これはお口の中でも同じことが言えます。どうしてもお口の中の菌というと悪いイメージしかないと思いますが、実際に悪さ(虫歯や歯周病)をする菌はほんの数種類です。そして、菌は人間よりも大先輩です。なので、お口の中から菌をなくすなんてことは到底不可能です。地球から人間をなくすことよりも難しいでしょう。酸素みたいな猛毒が地球にでもやってこない限り。菌と人間は共存していくしかないんですね。次回は歯周病菌がどのようにして歯周病を引き起こすのかお話ししたいと思います。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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