WHOの発表に対する僕の見解

WHOの発表に対する僕の見解

さて今回はコロナ関連でも大きな話題となるでしょうWHOの歯科に対する発表に関してです。今回のブログは現時点での僕の私見になりますのでご了承ください。今後の状況や発表内容によって変わることが大いにあるということです。

WHOの発表によると、

①エアロゾルを介した感染からスタッフ及び患者を守る必要がある

②エアロゾル発生の可能性のある処置(虫歯の治療や歯周病の治療)は現時点で歯医者での感染のデータはないけれども研究は必要

③以上に対してWHOの歯科医官のブノワ・バレンヌ氏は「集団感染に備え、緊急の口腔治療を優先し、エアロゾルの発生につながる処置の回避、または器具を使用して行われる治療の優先順位付け、不要不急の口腔ケアの延期を推奨する」と述べた

以上がWHOの発言のまとめになります。①②はその通りだと思います。感染対策はいつも通り行うべきですし、データがない中での研究はなかなかできないとは思いますが、続ける取り組みはすべきだと思います。

で今回話に挙げたいのはブノワ・バレンヌ氏の発言です。僕が無知なので存じ上げず申し訳ないのですが、感染症に対して明るい方のようです(違っていたらごめんなさい)。この発言の前半「集団感染に備え、緊急の口腔治療の優先」はその通りだと思います。集団感染は備えるべきだと思いますし、緊急性のある口腔治療から治療は行うべきだと思います。問題はその後半部分です。二つあるので一個づつひも解くと、

「エアロゾルの発生につながる処置の回避、または器具を使用して行われる治療の優先順位付け」とは、虫歯の治療または歯周病の治療を行わない、またはその器具を使っての治療は考えて行ってね(と解釈しました)

「不要不急の口腔ケアの延期を推奨する」はそのままですね。推奨と言葉は濁していますが。

さて、「虫歯の治療または歯周病の治療は行わず、口腔ケアも延期しろ」とブノワ・バレンヌ氏はおっしゃっております。つまり歯科治療は緊急性のあるもの以外は今は行うべきではないといっていると私は感じました。

もうこの際、私たち歯科医療関係者の給料とかお金のことはどうでもいいです。緊急性のない歯科治療を、口腔ケアを止めたらどうなるのかはわかっているのでしょうか?もちろん立場上言わなければいけないのかもしれませんが、WHOが公的に発言するとなると訳が違います。これに対して日本政府がどのような判断を下すかにもよりますが、もし歯科治療をいったんやめなさいという決断がされた場合、多くの死者が出ることは今までの僕のブログを読んで頂いている方はわかると思います。それよりもコロナウイルスの感染拡大防止をとるというのであれば、②のエビデンスをしっかりととっていただき、納得のできる回答を得られればと思います。

とりあえず今回のWHOの発言(特にブノワ氏の発言の後半)は、理解に苦しみます。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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