説明

説明

皆様、緊急事態宣言お疲れさまでした。発令から52日間の間、

「歯科医院を通じて感染したケースが一例もありませんでした」

これはすべての歯科医院の感染予防対策を徹底してくださったおかげだと思います。またこの数字は歯科医院の感染対策の安全性が実証されたものだと思います。これがワイドショーやニュースに取り上げられることはないと思いますが、今後もエビデンスをもった発信をしていきます。

さて話は変わりまして、今回は歯医者さんで行われる説明についてお話ししたいと思います。

河合歯科クリニックに来て下さる患者様に、よく「ここの歯医者はすごく説明をしてくれる」とおっしゃっていただきます。大変有り難いお言葉なのですが、これには理由がありまして。。。

すこし昔ばなしをさせて頂きます。僕がまだ勤務医だった頃、有難い事に非常に忙しく仕事をさせて頂いておりました。その時に受付の方から

「患者様からクレームがあります」

というメモが飛んできました。「ん?僕変なことしたかなぁ?」と思いながら、患者様のもとへ行きました。すると、、、

「〇〇の治療をしただけなのに、この金額は高い!!」

と言われました。治療内容は言えませんが、金額は確か800円くらいだったと思います。「いや、この治療をしたらこれくらいかかるだろ!!」とは言えず、

「申し訳ございません。今回行った治療は○○で、金額は全国一律で決まっているものです。」

とお伝えしました。すると

「わかりました。納得はできませんが支払います。納得はできませんが。」

と言われ、お代は頂き、帰られました。

さて、いったい何が問題だったのでしょう?

①治療はきちんと行った

②治療に準じて金額を頂いた(当たり前ですが不正請求はない)

③治療の金額は全国一律決まっている

当時僕が考えたのがこの三つでした。どう考えても

「僕に不備はありませんでした」

さて、もう原因はわかりましたね。たぶん読まれているのが一般の方であれば一瞬で分かると思います。読んているのが歯医者だと少しわかりにくいかもしれません。そう、正解は

「こんな三つのこと私は知らないよ」

です。そうなんです。歯医者からすれば当たり前のことでも、患者様からすれば当たり前じゃないんです。例えば、缶ジュースが自動販売機だいたい120円(130円?)なことってだいたいみんなわかりますよね?でも、自動販売機がない、缶ジュースがスタンダードではない国の人に、缶ジュースっていくら?って聞いても訳が分からないですよね?

さらに、加えて、当時の僕は忙しさにかまけて説明を当日しっかりしませんでした。「何回か来ている人だから大丈夫だろう」「前に説明したから大丈夫だろう」「800円くらいだし大丈夫だろう」という勝手な先入観で患者様を判断し、治療を行いました。今思えば本当に恥ずべき行為だと思います。

人は価値のあるものにお金を出します。ブランドのバックに何十万とお金をかけるのはそこにブランドという価値があるからです。

人は価値のないものにお金を出したくありません。そこら辺の歩いている知らないおっさんが握ったおにぎりが、例え10円だとしてもいらないですよね?しっかりと制服をきて、手を消毒をして、おにぎり屋さんという店構えがあって初めて、知らないおっさんのおにぎりに価値ができるんだと思います。

そう。その患者様にとって、僕の治療は、ブランドバッグなんかではなく、知らないおっさんのおにぎりだったのです。もちろん手を抜いた治療をしたわけではありません。でもクレームが出てしまった。すべての原因は

「説明不足」

にありました。「〇〇さんのここを治すには、この治療が必要です。この治療をするにはこれくらいの期間と費用がかかります。この治療をされますか?」という質問があれば、この患者様はクレームを言われなかったのだと思います。その後、その患者様はしばらくはみえなかったのですが、半年後くらいに検診で来て頂きました。その時に、もう一度謝り、しっかりとした説明を行いました。それからは定期的に来ていたので満足してくださっていたのではないかなぁと思います。

今回は、僕の恥ずかしい過去のお話と共に「説明」の大切さについてお話しさせていただきました。どうしても歯医者と聞くと「怖い」「高い」「不安」といった声がよく聞こえます。それを河合歯科クリニックでは少しでも拭えるよう、しっかりとした説明を行ってまいります。ほかの歯医者さんよりもちょっと話が長いかもしれませんが、何卒ご了承ください。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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