保険証廃止について歯科医師が…

保険証廃止について歯科医師が思うこと

かなり寒い季節になってきましたね。インフルエンザ、コロナともに流行ってきているみたいです。皆さん体調管理には充分お気をつけくださいね。

さて今回は保険証廃止についてお話ししたいと思います。先日、デジタル省が発表した2024年秋をめどに保険証が廃止されるみたいです。このことに対する歯科医師としての僕の意見をお話ししたいと思います。毎回のことですが保険証廃止について否定や賛成を述べるものではありません。ただ保険証が廃止になったらどうなるのかという僕なりの意見を話すだけですので軽い気持ちで聞いていただけたらと思います。

まず皆さんご存じでしたでしょうか?あと一年ちょっとで保険証がなくなります。そんな皆さんのなじみのある保険証。まずは歴史からお話ししたいと思います。以前少しお話したことがあるかもしれませんが、国民皆保険制度は1961年からスタートしました。今から60年以上も前に始まったんですね。調べた中で保険証がどのように変わってきたのかはわからなかったのですが、おそらく1961年から今のようなカードのものではないにしても、紙で使われていたのだと思います。詳しい方見えましたら教えてください。

そんな60年以上の歴史がある保険証がこの度なくなることになりました。このことにより何が起こるのか考えたいと思います。日本は超高齢化社会。65歳以上の方が3割程度を占めます。つまり3割の方が60年間使ってきたものがなくなるよということです。これが若い方ならそこまで抵抗はないと思うのです。どこまでが若い方なのかはわかりませんが、10年程度使ってきたものが変わるのであればまだ慣れるのも早いと思います。しかし、60年間、お医者さんや歯医者さんに行くときは保険証をもっていくを続けてきた方が、あと一年と少しでその生活が変わる。保険証ではなくマイナンバーをもってきてください。という。これってなかなかの生活の変化だと思いませんか?電車に乗るときも今ではスイカとかが主流にはなってますが切符は今でも残っています。これがスイカのみになった場合(スイカスイカと言ってますが青果のことではないですよ)、久しぶりに遠出するおじいちゃんおばあちゃんは果たして電車に乗れるでしょうか?おそらく、何の説明もなければ乗ることは難しいと思います。まずは電子マネーのお話をして、スイカを買ってもらって、そして改札をどのように通るかを説明すると思います。

これと同じことが、あと一年ちょっとですべてのお医者さん、歯医者さんで起こることになります。なかなか歯医者さんで働いたことのある人はいないと思いますので、先ほどの電子マネーをまったく知らないおじいちゃんおばあちゃんに電子マネーの説明をしてくださいと言ったら、大変さが伝わるでしょうか?そして、今まで何十年と切符で電車に乗っていたのになぜ使えないんだ!!というクレームが出るのが想像できますでしょうか?もう一度言います。これがすべてのお医者さん、歯医者さんで同じことが起きます。

冒頭にも述べましたが、僕は保険証の廃止について賛成でも反対でもありません。賛成の気持ちとしてはマイナンバーと一緒になれば利便性が増すことはとてもよくわかります。反対の気持ちとしては、昔からお医者さん、歯医者さんをやられている方で紙のみでカルテを書いている方はすべて廃業になってしまうことが少し悲しいなと思います(マイナンバーだけではパソコンがないと保険証の番号が確認できなくなるので)。これも時代の流れ、国の判断であれば従っていくのですが、説明をする際にコロナ感染、インフルエンザ感染が起きないことをただただ祈るばかりです。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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