歯を抜かない歯医者

歯を抜かない歯医者

今日は歯を抜く歯医者、抜かない歯医者についてお話ししようかと思います。

皆様こんな話をよく聞きませんか?

 

「歯を抜く歯医者は悪い歯医者だ」と。

ではなぜ歯を抜く歯医者は悪いのでしょうか?

これにはいろんな考え方があると思いますが、一つとして時代背景があると思います。まだ歯医者がそこまで広まってなかった時代。虫歯がひどくなると神経をとる治療をしなければなりません。この治療が終えるには最低でも4回から6回ほどかかります。今ならどんなに予約が取れなくても数週間に一回は通うことができると思いますが、昔は一度歯医者に行ったら次は数か月後なんてざらにあったと聞きます。また歯医者が少ないためほかの歯医者に行くこともできません。つまり一本の治療が終えるのに半年近くかかってしまうなんてこともあったみたいです。ですのでそんなに時間がかかるなら一度で終わる「抜歯」を選択するということになります。

それではいけないということで歯医者をたくさん作り、しっかりした治療を行える環境が整った。それなのにもかかわらず、その時代背景に沿ったまま抜歯を行う歯医者がいた。それがいわゆる「悪い歯医者」ということになります。

そしてまた時代が変わり、いろいろな技術が進み、より正確な診断が下せるようになった。しっかりした診断の上、抜歯をしなければいけないケースもあります。そこでネックになってくるのが「歯を抜くのは悪い歯医者だ」という考えです。そうなると、医学上抜かなければいけない歯を、患者様主導の考えのままで行くと、抜かないことになってしまう。その状態で放置するとより悪い状態になってしまうこともあるということになります。

しかしながら僕は患者様によく話します。

「使えるところまで使いましょう。」と。

歯はひとつの臓器です。「ちょっと悪くなったから肺ひとつ取るわ」なんて人いませんよね?できる限り歯を残せるよう治療は行います。それでもだめだった場合で、かつ残しておくと周りに悪影響を及ぼす場合のみ抜歯を勧めるようにしています。

技術も進んでいるこの時代。はたして歯を抜く歯医者、抜かない歯医者どちらが悪い歯医者なのでしょうか? それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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