集団免疫とは?

集団免疫とは?

さて今回は集団免疫についてお話しさせてください。

そもそも免疫とは体に菌やウイルスなど悪いものが入ってきた場合に、やっつけて体を守ろうとすることを免疫といいます。これも話すとかなり長くなってしまうので端折りますが、主に生物の体の中で起きるお話です。

では集団免疫とは何かというと、免疫と名前はついていますが、体の中で起きる話ではありません。生物の話というよりは、疫学の話に近いです。厚生労働省のホームページにはこう書いてあります。

人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染者が出ても、ほかの人に感染しにくくなることで、感染症が流行しにくくなる状態のことです。

とあります。ここで一通の質問をいただきました(匿名希望ですが母です)。

集団免疫があればワクチンを打たなくていいの?

確かに先ほどの文章だけを読むとこう思うのも無理はありません。これを説明するのには二つ理解していただきたいことがあります。

まず一つは、感染と発症のお話。以前にも少し話したことがあるのですが、感染とはウイルスなどが体内に入り定着した状態。発症とは感染により、体に咳や発熱など何らかの症状が出た状態のことを指します。ここがとても混乱しやすいところになるのですが、何が言いたいかというとコロナに感染してもワクチンを打っていれば重症化、つまり死ぬことは無くなるんですね(99%なので絶対ではありません)。

そして二点目。ワクチンに感染予防効果があるのかどうか。これは最後にお話しします。

さて集団免疫のお話をしましょう。集団といって10人も20人もいるから複雑になりわからなくなるのです。なのでこの世に二人しかいないとしましょう。シンジくんとアスカさん、ドルチエさんとガッパーナさんなどいろいろ考えたのですが、訴えられたら怖いので太郎さんと花子さんにします(チョイス)。今回は絶対に10日後に死ぬウイルスにしましょう。これに感染したとします。これは絶対に感染したら10日後に発症して死にます。もちろんワクチンも何もない世界線で二人とも感染したら10日後に死んでしまいます。そしてワクチンがある世界線で二人とも打っていれば当然感染しても死にません。

次にワクチンが一つしかない世界線です。ここでは花子ファーストが叫ばれていますのでワクチンは花子さんが打ちました。そして太郎さんは打っていません。この際二人とも感染してしまった場合、花子さんは生き、太郎さんは10日後に死にます(全米が泣いた)。

そしていよいよ本題に入ります。先ほどと同じ世界線、ワクチンが一つしかない世界線で、花子さんがワクチンを打ち、太郎さんがワクチンを打たなかった時(ここまでは同じです)、花子さんが「感染して」、太郎さんが「感染しなかった」場合どうなるでしょう?もしも夫婦間が冷え切っていて(突然の設定)、世界規模の別居をしていた場合、当然感染することなく10日が経ち、ウイルスは消滅します(突然の設定パート2)。しかし、付き合って一週間で、ソーシャルディスタンス?なにそれおいしいの?な状態だった場合、二人は抱きしめたらキスをします(突然のEXILE)。

おふざけが過ぎましたが、つまりここで問題になるのは、先ほど二点目に挙げたワクチンを打った花子さんから、打っていない太郎さんに感染能力があるのか?という話です。

結論から言うと答えはわかりません。ある程度感染能力が抑えられるといわれていますが、当たり前ですが、ワクチンを打った陽性の人を打っていない陰性の人に感染させる実験をさせるわけにはいかないのですから。

またワクチンの有効期間もどれほど続くのかはわかりません。一度打ったらずっと効果があるのか?一年で効果が切れるのか。

まとめます。ワクチンを打つことができる人は打ちましょう。様々なデマがあるようです。毎度同じことを言いますが、きちんとした根拠のある情報のみを信用してください。「国は情報を隠蔽している!!」と言ったら面白いのでみんな見ますよね?でもその文章の後に必ず「信じるか信じないかはあなた次第です」や「ホンマでっか?」と書いてあると想定すれば少しは冷静になれるかもしれませんね。現実には世界線など存在しません。あなたを守れるのはあなただけです。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

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