歯ってなんで硬いの?

歯ってなんで硬いの?

気がついたら今日で二月も終わりですね。三月はいろいろな方の節目となる月です。きれいなお口で締めくくりましょう。

さて、今回は「歯ってなんで硬いの?」と題しまして、歯の硬さについてお話ししたいと思います。なかなか歯のことを考えることは無いと思うのですが、もし歯が豆腐くらい柔らかかったらどうなると思いますか?

 

ごはん食べれませんよね?つまりは歯が硬いのはご飯を食べるからなのです。

はるか昔、マンモスを追いかけていたころ、人間は、木の実や生肉などを食べていたそうです。なーんだ、木の実や生肉でしょ?桃とか桜ユッケとかなら噛まずに食べれますよ?と思われる方がいるかもしれませんが、今の桃は食べやすく品種改良されていますし、桜ユッケは細かく刻んであると思います。イメージとしては、大根を丸かじりする感じ、Tボーンステーキを丸かじりする感じに近いと思ってください(それでも大根は軟らかいほうですし、Tボーンステーキも切ってありますので難易度はかなり低い方です)こういったものを食べるためには硬い歯が必要不可欠です。怖い話をするのであれば、そういった食べ物しかない頃に歯を失うということはそのまま死を意味します。ご飯を食べることができないので。ですので昔の人にとっては今以上に歯というものがとても大切だったんですね。

さて少し脱線しましたが、今回は歯の硬さの話。じゃあ歯ってどれくらい硬いのでしょうか?骨くらい硬い?鉄くらい硬い?そんな謎を解いたのがモースさんという方です。じゃあいろんな硬さを数値化しようと試みました。皆さんが想像する一番硬いものって何でしょう?たぶんダイヤモンドを想像するのではないでしょうか?ではそれを一番硬い10にしよう。じゃあ一番柔らかいものは何でしょうか?豆腐?ビーズクッション?このモースさんが一番柔らかいと考えたのはチョークだったようです。それを一番柔らかい1としよう。そこでいろんな硬さの物を数値化したものを「モース硬度」と呼ぶようになりました(ほかにもビッカース硬度とかヌープ硬度とかもあるよ)

では歯の硬さはこの1から10のどこに入るのでしょうか?

一番柔らかいものが1のチョークなので、2からランキング形式で発表したいと思います。

まずはモース硬度2の代表的なものは岩塩や純金です。岩塩と聞くと高級なステーキ屋さんとかで聞くイメージがありますが、結構やわらかいんですね。そして純金も金の延べ棒とかすごく硬いイメージがありますが、金って金箔といわれるくらい薄く延ばせる=柔らかいということになり、金属の中では非常に柔らかいところに属します。

では続いてモース硬度3の代表的なものはサンゴや爪です。なかなかサンゴが身近に無いため爪の話になりますが、思ったより爪って硬いんですね。確かにチョークなら爪で削れる気がします。岩塩も調子のいい時は削れる気がします。純金は、、、、金箔なら削れる気がします。

次に行きます、モース硬度4の代表的なものは鉄です。え?鉄ここ?と思われた方がいるかもしれませんが、鉄っていろいろなものに使われていますよね?釘とかフライパンとか。そういったものというのは硬さももちろん大切ですが、加工しやすいという性質も必要になります。いろいろなものに使われている=加工がしやすいのである程度の硬さと柔らかさを持つ鉄が使われているんですね。

どんどん行きましょうモース硬度5の代表的なものはガラスです。え?ガラスって鉄より硬いの?夜の校舎窓ガラス壊して周ったけど?と思われる方もいるかもしれません。ここがちょっとわかりにくい部分なのですが、硬いものというのは総じてもろいものであったりもするんです。花瓶をイメージしてみてください。よく殺人事件が昔は火曜日、今は土曜日に行われているんですが、その凶器になるくらい花瓶って硬いと思います。でも落とすと割れますよね?つまり凶器になるくらい硬い(硬度が高い)けれども、ある一定以上の衝撃を加えると壊れてしまいます(脆度も高い)。しかし今回は硬度のみをランキングしているのでガラスはここに入ります(説明がへたくそですみません)

さて続いてモース硬度6の代表的なものは骨です。実際は5.5強くらいですが、ほかの代表的なものがオパールなのでここに入れました(そもそもモース硬度は宝石などの硬さを図るためによく用いられるので宝石ばかりが出てきます)。骨って鉄やガラスよりも固いんですね。びっくりです。じゃあガラスみたいに脆いの?と思われがちですが、実は骨には無数の穴が空いています。え?穴空いてるの?と思われるかもしれませんが、空いてます。興味がある方はTボーンステーキとかケンタッキーとかで見てみてください。そして実は穴が空いている方が強度が高くなります。ハニカム構造というものがあるのですが、簡単に言うとハチの巣です。ハチの巣って穴だらけなのにしっかりと構造を保っていますよね?これは軽いと頑丈を兼ね備えております。蜂ってすごい。ということで骨は硬いけど頑丈に出来ています。

さていよいよモース硬度7の代表的なものです。それは、、、、

 

歯です!!!!!!

やっと登場になります。お待たせしました。尾崎豊も火曜サスペンス劇場も興味のなかった方すみません。歯のモース硬さは7になります。意外と硬くありませんか?今まで挙げてきたもの、鉄やガラス、骨よりも硬いです。厳密には歯の中にあるエナメル質というものが7でそのほかの部分は5.5だったりもするのですが一番硬いところを知っていただこうとエナメル質の部分をピックアップさせていただきました。

そしてモース硬度8の代表的なものがエメラルド、モース硬度9の代表的なものがルビーやサファイアになります(宝石ばかりで例えが浮かびませんでした)

さて思いのほかボリュームが出てしまいましたがいかがだったでしょうか?マンモスを追いかけていたころと比べ、今は様々な加工品があります。コーンフレーク、ソーセージ、ハンバーグなどほとんどかまなくても食べられるものであふれています(どれも大好物です)しかし、せっかくご先祖様から受け継いだ大切な歯です。たまには厚いステーキ、リンゴの丸かじりをしてみるのもいいかもしれません。入れ歯の方は薄いステーキ、切ったリンゴにしてくださいね。それも食べられない方は是非当院にお越しください。それくらいは噛めれるようにいたします。それではまた。

                      歯科医師 河合鮎樹

一覧に戻る